補導歴・非行歴は将来に影響する?
ご自身の子が刑事事件を起こしてしまった、警察から補導を受けた、というような場合、子に補導歴や非行歴がつき、将来に影響するのではないかと心配される方もいらっしゃるでしょう。
そもそも補導とはなにか、非行歴とどう違うのか、どのような場合に補導されるのか、補導歴や非行歴がつくと将来にどのような影響を及ぼすのか、についてご紹介したいと思います。
補導とは
少年警察活動規則第7条では、街頭補導に関する規定があり、道路その他の公共の場所、駅その他の多数の客の来集する施設又は風俗営業の営業所その他の少年の非行が行われやすい場所において、非行少年(犯罪少年、触法少年、ぐ犯少年)、不良行為少年(飲酒、喫煙、深夜はいかいその他自己又は他人の徳性を害する行為をしている少年)、被害少年(犯罪その他少年の健全な育成を阻害する行為により被害を受けた少年)、要保護少年(福祉のための措置又はこれに類する保護のための措置が必要と認められる少年)、児童虐待を受けたと思われる児童を発見し、必要に応じその場で、少年警察活動規則に規定する措置を執る活動とされています。
その他法律上の定義はありませんが、つまり、補導とは、少年の非行を防止するために行われる警察の活動の総称を指し、その具体的な活動内容については、少年の種類により異なり、少年警察活動規則に定められています。
例えば、非行少年に対しては、本人又はその保護者に対する助言、学校その他の関係機関への連絡その他の必要な措置をとり(少年警察活動規則13条1項)、不良行為少年に対しては、当該不良行為についての注意、その後の非行を防止するための助言又は指導その他の指導を行い、必要に応じ、保護者に連絡をし(少年警察活動規則14条1項)、要保護少年に対しては、児童相談所への通告、一時保護その他これらに類する保護のための措置の適切な実施のため、本人又は保護者に対する助言、学校その他の関係機関への連絡その他の必要な措置をとる(少年警察活動規則38条1項)こととしています。
非行歴との違い
似た概念として、「非行」というものがあります。非行とは非行少年として検挙又は補導されることをいい、非行歴はその履歴を意味します。補導歴とは違い、非行歴は前歴として警察の記録に残ります(補導歴は少年が成人になると記録から破棄されます。)。
少年事件への影響
一般的に、少年が逮捕されると、少年事件として少年法に規定する手続でその少年の処遇について判断されますが、少年事件にどう影響するのでしょうか。
補導であれば、前記の具体的活動がなされる程度で少年事件の手続が開始されるわけではありません。つまり、補導されると、平たく言うと注意や保護者への連絡で終わります。
しかし、非行の場合は、警察が少年を逮捕され、身柄を拘束される可能性があります。その後取調べを経て、家庭裁判所に送致され、逆送又は保護処分に付されます。どの道を辿るかは事件の性質によります。
将来への影響
補導歴・非行歴は一般に公開されることはありません。また一般人が、補導歴・非行歴を調べる手段も原則としてありません。
補導歴は成人になると警察の記録から破棄されますので、成人後の将来への影響は少ないといえるでしょう。
しかし一方で、非行歴は成人後も記録として残り続けますし、仮に非行が原因で学校を退学させられたというような事情があり、履歴書には中退と記載していた場合、就職活動での面接などで影響が出る可能性はゼロではありません。また非行歴があることを隠して入社したとしても、何らかの事情によってそれが発覚し、解雇を言い渡されることも否定できません。非行歴に関しては、将来的にこのようなことが起こり得ます。
最後に
補導歴と非行歴について、少年事件の手続の違いや将来への影響度合いについてご紹介しました。
補導歴は注意で終わるのがほとんどですが、非行歴に関しては将来影響を及ぼす可能性はあります。過去の非行歴について今後の影響に心配な方や子が少年事件を起こしてしまい、非行歴が付いてしまうのでないかご不安な親御さんは、できるだけ早めに弁護士に相談することをお勧めします。