離婚調停の流れを見てみよう


 いざ、ご自分で離婚調停を申し立てたものの、今後の具体的な流れについてわからないことが多いと思います。相手と顔合わせるのか、調停がまとまったときと、まとまらなかったときはどうなるのか、などなどどのようにして進むのかなどについてご紹介します。  

 

調停の申立て

調停を始めるためには、まず家庭裁判所に調停を申し立てなければなりません。実際の申立書は、裁判所ホームページや窓口に備え付けられているので、問い合わせてみてください。ちなみに、裁判所では、「夫婦関係調整調停(離婚)」という事件名で進みますが、これは離婚以外にも、復縁も含め関係を調整する目的も含まれるので、このような名前になっています。

申立先の家庭裁判所は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所になります。例えば、相手方が東京23区内に住所地を有している場合は、東京家庭裁判所になります。

また申立てにあたっては、印紙と郵便切手代を裁判所に納めなければなりません。印紙代はどの裁判所でも1200円分ですが、郵便切手代は裁判所によって異なりますので、裁判所ホームページを参照するか、申立先となる家庭裁判所に直接問い合わせてみてください。

 

必要書類

調停の申立ては、申立書だけでは手続が進みません。

申立てに必要な書類として、申立書の他に、

・送達場所等届出書

・進行に関する照会回答書

・事情説明書

・(未成年の子がいる場合)子についての事情説明書

・(希望する場合)住所の非開示の希望に対する申出書

・(離婚とともに年金の分割割合に関する調停を求める場合)年金事務所等が発行する年金分割のための情報通知書

・夫婦の戸籍謄本(発行から3か月以内)が必要とされます。

これら(情報通知書及び戸籍謄本を除く)はいずれも裁判所ホームページに掲載されています。

 

 

期日の連絡

必要な書類が揃い、申立書の内容について問題なければ、裁判所から第1回期日についての調整の連絡がきて、裁判所と申立人のみで第1回期日の日時を決めます。この時点では、申立人が口外しない限り、相手方は離婚調停が申し立てられたことを知りません。

第1回期日の日時が決まったら、裁判所は相手方に調停期日通知書(呼出状)と申立書を送付して、申立内容に対する答弁書の提出を求めるとともに、期日に呼び出します。申立時に裁判所に納めた郵便切手はここで活かされます。

 

第1回期日

いよいよ第1回期日ですが、日時は裁判所と申立人が決めたものですので、相手方が来れないこともあります(その場合であっても答弁書が出されるのが基本です。)。 

 

 

協議開始

相手方が来れば、調停員を介して、申立人が離婚を求める理由、それに対する相手方の回答、未成年の子がいれば親権、面会交流、養育費も話し合われますし、財産分与、慰謝料についても話し合いがなされます。協議は全て調停員が連絡役として、双方の主張を聞き、それを他方の当事者に伝える、という流れで進んでいきます。

協議が始まるまでに相手方と鉢合わせてしまうことを懸念すると思いますが、裁判所では申立人控室と相手方控室が別々で用意されています。ただ、鉢合わせることが絶対にないとは言えません。

 

続行期日

第1回期日で相手方が来なければ、続行期日として次の期日の日時を決めます。

事前に相手方に続行期日の候補日についていくつか挙げてもらうのが一般的で、その候補日を元に第1回期日に出席した申立人と裁判所が、続行期日の日時を決め、決まったら、裁判所が相手方に知らせます。

 

 

 

調停の終了

当事者双方が離婚することも含めその他条件でも合意できたら、離婚調停は終了し、裁判所が調停調書を作成します。

 

調停成立と不成立

調停成立

協議離婚とは違い、裁判所での離婚では、調停が成立すれば離婚が成立します。

裁判官が作成する調停調書には、一般民事事件でいう判決と同一の効力を有します。

調停調書は、相手方が履行しない場合に強制執行できる根拠となりますので、大切に保管しましょう。

 

調停不成立

当事者双方の主張に乖離があり、離婚の合意ができなければ調停は不成立となります。調停が不成立となった場合には、家庭裁判所に訴状を提出し、訴訟での解決を図ります。余談ですが、訴訟では調停とは違い、話し合いではなく、双方の主張を立証していき、裁判所が離婚の可否について判断します。

 

 

 

手続が分離されることもある


申立ての内容が単に離婚を求めるだけであれば離婚すること自体に合意するかしないかの話になりますが、親権や養育費、財産分与など一体的に解決しようとすると最終的に全ての項目について合意できるとは限りません。もちろん申立内容に含めて問題ありませんし、そこは申立人の自由です。

仮に、離婚の他、親権、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料を求め、相手方は離婚すること自体には合意しているが、その他条件は合意できないというような場合、手続が分離されることがあります。

つまり、双方の合意がとれている問題は離婚と同時に解決できる問題であるとして、解決できそうもない問題とは手続を分けて、成立させることもあります。これは法律上、調停委員会の裁量でできます。

 

 

 

スムーズな解決のためには弁護士にご相談を


以上が離婚調停の大まかな流れになりますが、弁護士が関与する段階としては、離婚するか迷っているケース、離婚する意思は決めており話し合いをお願いしたいケース、話し合いで折り合いが付かず調停をしたいのでお願いしたいケース、調停が不成立となったので訴訟を提起するケース、になります。

ただ、いずれのケースにおいてもスムーズな解決のためには、なるべく早いフェーズでの弁護士による関与はとても重要です。

離婚問題でお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。