交通事故の過失割合はどうやって決まる?

 

交通事故が発生した場合、当事者間で過失割合について争いになることは多く、場合によっては裁判にまで発展することもあります。

過失割合は、各当事者の責任を示すものであり、それを基に自分が支払うべき金額又は受け取るべき金額が決まるので、争いになりやすいのです。 

 

 

過失割合はどうやって決まるのか?

このような責任割合ともいうべき過失割合はどのようにして決まるのでしょうか。

 

当事者による話し合い

まず誰が決めるのかということですが、当事者が話し合いによって決めます。警察や保険会社が決めるものではありません。従いまして、両者が過失割合について合意すれば決まります。

しかし、実務上は、加入先の保険会社であったり、弁護士に依頼すれば弁護士が代理して決めます。

そして、多くの場合、加害者側の保険会社が被害者に過失割合を含めた示談案を提示してきますが、これに納得できる場合は別として、その場で決めなければいけないことではありませんし、納得できないのであれば弁護士などの専門家に相談してからの回答でも問題ありません。 

 

過失割合はどのように決められているのか?


このように過失割合は、基本的に当事者間で決めるのが本来ですが、実際は保険会社又は弁護士が代理して過失割合を決めていきます。

では、加害者側の保険会社が提示してくる過失割合の案はどのようにして決められているのでしょうか。

交通事故実務ではかなり有名な「別冊判例タイムズ38号民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」という本を参考に決めています。

この本は、自動車同士、自動車と歩行者、自動車と自転車、自転車と歩行者などの事故態様と正面衝突、巻き込みなどの事故類型がそれぞれ分類され、その場合の過失割合が類型化されています。

過去と同じ交通事故はないので、本に記載されている似たような事故態様を基に過失割合を算定します。

 

過失割合が決まる基本的な流れ

さて、過失割合について、誰が何を参考にして決まるのかがおわかりいただけたと思いますので、次は過失割合が決まる基本的な流れについてご紹介したいと思います。

1 当事者間の事故状況の認識

2 過失割合の暫定

3 ケースに応じた過失割合の修正

4 当事者の合意

 

1 当事者間の事故状況の認識

まずは、当事者間において事故当時のどのような状況であったのかの共通認識から始まります。当事者間の証言はもちろんですが、事故現場が交差点なのか、信号機はあったのか、当時の天候や時間帯はどうだったのか、走行速度はどれくらいだったのか、などについてすり合わせます。

その際に有力となるのが、事故直後の写真や警察による実況見分調書、またドライブレコーダーも今では事故当時の証拠として挙げられます。

 

2 過失割合の暫定

事故状況について客観的にも把握することができたら、過失割合の算定に進みます。

先ほどもお伝えした通り、本を参考にして似た事例や過去の判例を基準にして本件の過失割合を算定します。

 

3 ケースに応じた修正

大まかな過失割合を算定したら、今度は本件の事故状況に応じた過失割合の修正がなされます。例えば、モデルケースでは天候は晴れを想定した過失割合ですが、実際の事故では雨だったというような場合は、それを考慮した過失割合が修正されることがあります。

 

4 当事者の合意

最終的な過失割合で当事者が納得できたら合意に至ります。納得できない、合意に至らないような場合は、ADR(裁判外紛争解決手続)や裁判手続に進みます。この場合は、弁護士に相談することをお勧めします。 

 

過失割合について弁護士に相談するメリット

自力で交渉しようにも限界はあります。多くの保険会社では、過去の判例でも似たケースがありますので、本件の過失割合は同じになります、という主張しかしてこないこともあります。この場合、適正な過失割合はなかなか難しいでしょう。もし、過失割合で納得できないのであれば、一度弁護士に相談することをお勧めします。弁護士であれば、保険会社が提示した過失割合は正しいのかを含め適正な過失割合を算出することができ、示談交渉そのものを依頼することもできます。